破魔弓工房の様子

横手人形の工房では、年間を通して破魔弓づくりを行っております。
その工程のひとつひとつは、熟練のスタッフによる手作業。
初代光鶴の時代から三代変わらず大事にしている製法で、細部にわたって高い品質の破魔弓を作り出しております。
当社こだわりの破魔弓を、是非手にとってご鑑賞ください。

STEP 1

羽根の洗浄

羽根は保管するときには良く洗浄し、保管します。洗浄を怠ると虫食いの原因になるからです。寒い時期にこの洗浄作業をすることで、春先からの製造が出来ます。

丹念に洗浄した羽根は、丁寧に乾かします。天日干しを丸一日、室内干しを約3日間します。水分が残っていると、保管期間でカビ発生してしまう可能性があるからです。保管方法は昔、茶箱で使われていた箱を流用し、虫食い防止のショウノウを丹念に入れ保管します。

水分を飛ばし、虫食い予防をしっかりすることにより、上質の矢羽根を作ることが出来ます。

STEP 2

羽根の柄合わせと羽根貼り

矢羽根を製作する上で当社がこだわっているのが、羽根の柄合わせです。天然の羽ですので、天然の風合いを生かしながら、矢羽根のサイズにカットした後に左右の柄のバランスを見て、一枚一枚丹念に選別し、一本の矢羽根になるようにペアにしていきます。

羽根を矢の棒に張る作業では接着剤と季節によっての湿気に配慮しながら一枚一枚丁寧に張っていきます。湿気の多い少ないで、接着剤を塗って固定する時間も変わってくるからです。もちろんこの時も羽根の柄のバランスを再度、チェックしながらの作業が続きます。

STEP 3

矢羽根のカット

矢羽根のカットは当社の特徴を出す重要な工程です。数種類の羽根の中でもカット(はさみにて)は羽根の種類によっても様々です。当社は羽根もデザインの一部と考え、品格と美しさを備えた羽根となるようカットしています。

実際に飾られたお客様からは、「カットが綺麗過ぎて天然の羽根だと思わなかったと」言われるほど精密に丁寧にカットしていることが当社の自慢です。
※写真右手にある「砂鉢」は創業者がわざわざ県外から取り寄せた砂です。

STEP 4

組上げ

破魔弓の組上げはバランスを注意しながらの作業となりますので、スタッフ一人が最後まで責任を持ち組上げます。そして、矢羽根を破魔弓本体部に固定する作業では羽根の柄のバランスをここでも注意し組上げます。終始、手作業での製作にこだわっております。
※矢羽根を本体部分と固定することにより、強度を増すよう接触部分には全て接着剤を付け固定します。もちろん、接着跡が見えないように工夫しています。

STEP 5

蒸す

仕上げは蒸す作業を行います。矢羽根を整えるのに「蒸す」という作業をします。羽根に蒸気を当てることにより、癖を直し美しい羽根本来の質感を出します。
※写真は羽根を蒸している様子ですが、今でも昔ながらの湯たんぽを使いこだわりを持って作業しています。

もう一つ破魔弓を彩る部品の一つに、「飾り房」があります。「結ぶ」という日本人古来の伝統作法を形にした房も、蒸して綺麗に整えてから破魔弓に固定します。

STEP 6

毛巻き、糸巻き

矢羽根を彩る一つである毛巻きは水鳥の胸の毛を利用した装飾です。これも破魔弓に美しさをもたらす装飾です。もちろん当社の熟練スタッフが一本一本丁寧に製作して行きます。

毛巻きや矢棒に糸巻きをする作業も神経を使う大切な作業です。羽根を引立たせる役割をしますので、色の選定も慎重に行っております。

STEP 7

籐巻き

弓に巻く「籐」は一度、水に漬けておき柔らかさを出し、水分を含ませることにより、より弓に巻きつけやすくします。大きい弓から小型の弓まで全て工程は同じで製作して行きます。商品によってこの巻き方も様々あり、ここも横手人形のこだわりを表現しております。ご注目ください。